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荘厳な儀式 庄川の落ちアユ釣り

子孫を残す旅立ちへ向かう落ちアユの姿はもの悲しい

庄川で落ちアユを狙う私の釣り相棒渡辺さん、奥が私・澤渡

今回のよもやま話は秋の鮎釣りの醍醐味、富山県、庄川での落ちアユ釣りのお話です。落ちアユとは春に川を上った若鮎が成長し、産卵のため再び海へ下っていく晩年のアユのことです。

落ちアユ釣りは、毛バリ釣りファンにとってはシーズンを締めくくる荘厳な儀式です。子孫を残す旅立ちへ向かう落ちアユの姿はもの悲しい。ふっくらとお腹が張った豊満な雌アユ。一方、黒く錆びた雄アユ。対照的なカップルですが、その食欲はとても旺盛で、最後の晩餐とばかりに果敢に毛バリへ飛び付いてきます。

庄川の鮎は大型と聞いて、本年の最後の儀式は庄川へと決めていました。早速10月14日の夜に富山に入って、翌15日早朝から庄川へ向かいました。まずは鮎釣りポイントの大門大橋下の渕に入川。6号オモリで渕の下流にハリを流すと、毛バリ「赤玉ポートワイン」に19センチ級の白姿のアユがやってきました。「清水2号桜」毛バリには25センチ級が当って、3〜4分雄アユと格闘して何とかタマ網に納めました。土佐の毛バリ「夕照」や加賀バリの「赤星銀」にはコンスタントな当りがあって、午後2時に竿を納めるまでに20尾台を釣り上げました。土地のファンはさすが、私たちの倍の数を釣り上げていました。

翌16日は神通川の再解禁日。ところが例年にぎわう有沢橋下には、釣り人がいません。よく見ると川の中にブルトーザーが入り、ジャリを採って改修工事をしているではないですか。アユが産卵できないのではと心配になりました。一方、今年の庄川は、ソ上は期待できませんでしたが、放流を130万尾もした効果があったようです。水温も例年より高く、「魚が育った」と漁協の人はおしゃってました。

帰宅して早速、地元西荻の小料理屋に持っていき、飲み友達と庄川のアユを堪能しました。異口同音に「味覚があまい」といって舌鼓を打ち、楽しいひと時を過ごしました。北アルプスの奥深い渓流から流れ出る清冽な水はアユが毛バリを追う姿が肉眼で見えるほど透明です。土地のファンが「庄川のアユは北陸ではNo.1の味」というのもうなずけます。

10月21日と22日は釣り場に近い高岡の町に泊り、早朝から鉄橋の真下の渕に竿を出しました。ハリは「黒八ッ橋かくし銀」、そして「竹1号」にはコンスタントにアユが掛かり、20〜26センチが2日で50尾台となりました。

こうして地元の皆さまにお世話になって、今年の落ちアユの儀式がとどこおりなく終える事ができました。

富山県庄川、太田橋上手の鮎釣りポイントにて

鮎毛バリ「赤玉ポートワイン」

鮎毛バリ「黒八ッ橋かくし銀」

マグナ2015年3月発行「鮎毛バリ大図鑑」