フェライト磁石とは?主な用途や他の磁石との違いを解説

フェライト磁石

磁石は、私たちの身の回りのさまざまな製品や産業分野で活用されています。その中でも「フェライト磁石」は、コスト面や耐久性に優れた特性を持ち、幅広い用途で使用されている代表的な磁石の一つです。

本記事では、フェライト磁石の基本的な性質や製造方法、他の磁石との違い、そして具体的な用途について解説します。

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フェライト磁石とは?

フェライト磁石は、主に酸化第二鉄(いわゆる鉄サビ)とストロンチウムまたはバリウムを原料として作られる磁石です。

酸化物を主成分とするため、他の磁石材に比べて耐食性に優れ、コスト面でも有利な特性を持っています。製造工程では、原料を混合・焼結し、磁場を加えて成形することで磁性を持たせます(※詳細は下図参照)。

その性質から、フェライト磁石は家庭用品から産業機器まで、幅広い分野で使用されています。

 

主な原料

  • 酸化鉄(酸化第二鉄)
  • ストロンチウムもしくはバリウム

 

どのように作られるのか(製造工程の簡易説明)

フェライト磁石

 

フェライト磁石の特徴

フェライト磁石は、他の磁石と比べてコストや耐久性の面で優れた特性を持ち、用途に応じた選定がしやすい素材です。

以下に、フェライト磁石の主なメリットとデメリットを整理します。

 

メリット

  • 安価で大量生産しやすい
  • 錆びることが無い
  • 耐熱性が高い
  • 安定した磁気特性

 

デメリット

  • 磁力は強くない
  • 低温に弱い

 

これらの特性を踏まえ、フェライト磁石はコスト重視の用途や過酷な環境下での使用に適していますが、高磁力が求められる場面では他の磁石との比較検討が必要です。

 

フェライト磁石の主な用途

  • スピーカー
  • モーター
  • 掲示用マグネット
  • 家具製品全般
  • 屋外設備 など

 

フェライト磁石とその他の磁石との違い

 

種類 主成分・特徴 磁力 耐食性・耐熱性 コスト 主な用途・特徴
フェライト磁石 酸化鉄
+
ストロンチウム/バリウム
など
やや弱い 高い(錆びにくい、高温可) 非常に安価 スピーカー
マグネットシート
家電
屋外用途など
ネオジム磁石 ネオジム



ホウ素(希土類)
小型でも強力
非常に強い 錆びやすい・高温に弱い 高価 小型モーター
HDD
精密機器
サマリウムコバルト磁石 サマリウム

コバルト(希土類)
強い 非常に高い(高温・耐食性) 高価 高温環境のセンサー
医療機器
アルニコ磁石

アルミ

コバルト

ニッケル
古いタイプの磁石
中程度 高温に強いが減磁しやすい やや高価 計器類
古いタイプの磁石

 

【Q&A】フェライト磁石に関するよくある質問

フェライト磁石は水に濡れても大丈夫ですか?

フェライト磁石の主原料は酸化第二鉄で、いわゆる錆びた鉄です。

そのため、これ以上サビが発生することはなく、水に濡れても問題ございません

 

フェライト磁石の寿命はどれくらいですか?

経年劣化による磁力減少はごく少量のため、単純な寿命は計り知れません。

しかしながら-20~-40℃以下で使用すると、磁力が維持できなくなる・弱くなる【減磁】が起きるため、温度管理が重要となります。

 

まとめ

フェライト磁石は、酸化鉄とストロンチウムまたはバリウムを主原料とする磁石であり、安価で大量生産が可能なうえ、錆びず耐熱性に優れるといった特長を備えています。

一方で、磁力は比較的弱く、低温環境では減磁しやすいというデメリットもあります。

これらの特性から、フェライト磁石はスピーカーやモーター、屋外設備、掲示用マグネットなど、耐久性やコストパフォーマンスが重視される用途に広く活用されています。

水濡れにも強く、経年劣化が少ないため、長期間にわたり安定して使用できる磁石と言えるでしょう。

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