磁石は何でできている?素材や作り方をわかりやすく解説

磁石素材

磁石は、私たちの身の回りのさまざまな製品や機器に使用されており、その性能は素材によって大きく左右されます。

本コラムでは、代表的な磁石の原料や素材の特性、用途に応じた選び方について、基本的なポイントをわかりやすく解説します。

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各磁石の主要原料

ネオジム磁石

ネオジム磁石素材

  • ネオジム(Nd)
  • 鉄(Fe)
  • ホウ素(B)

フェライト磁石

フェライト磁石素材

  • 酸化鉄(Fe₂O₃)
  • ストロンチウム(Sr)またはバリウム(Ba)

サマリウムコバルト磁石

サムリウムコバルト磁石素材

  • サマリウム(Sm)
  • コバルト(Co)
  • 銅(Cu)

アルニコ磁石

アルニコ磁石

  • 鉄(Fe)
  • アルミニウム(Al)
  • ニッケル(Ni)
  • コバルト(Co)

磁石の素材として適している条件とは

磁石性能に関する条件

残留磁束密度が大きい:磁力線を多く通すことが出来る

保磁力が大きい:磁力の元となるエネルギーをたくさん蓄えている、磁力が抜けにくく、外部からの影響で減磁しにくいこと。

最大エネルギー積(BHmax)が大きい:①かつ②を兼ね備えた磁石。磁力が強く、性能が高いこと。

耐久性・安定性

  • キュリー温度が高い:高温に強く、温度変化で磁力が落ちにくいこと。
  • 経時変化が小さい:長期間使っても性能が落ちにくいこと。
  • 機械的強度が高い:割れや欠けなど物理的ダメージに強いこと。
  • 錆びにくいか、コーティングで保護できる:耐食性に優れることで長持ちする。

コストや供給面

  • コストパフォーマンスが良い:強磁性と安価さのバランスが取れていること。
  • 原料供給が安定していること:資源が豊富または安定して入手できること。

用途に合わせた磁石の素材の選び方

磁石の材質の違いにより、耐久性・耐食性・磁力の強さなどにそれぞれ特有の性質を持っています。

下図では、代表的な磁石の種類ごとの特性を比較しています。使用環境や目的に応じて、適切な磁石を選定することが、製品の性能維持や信頼性の確保において重要な要素となります。

フェライト磁石 アルニコ磁石 サマコバ磁石 ネオジム磁石
長所 安価
錆びない
大量生産向け
最も使用されている磁石
高温耐性『大』
温度による磁気変化が最も小さい
強磁力(ネオジムに次ぐ)
耐食性
温度変化が小さい
磁力、最強
短所 磁力が弱い
欠け易い
低温で磁力消失
磁力が簡単に減る
長い棒状に作る必要がある
欠け易い
原材料が高い
錆びやすい
温度変化に弱い
使用温度
(通常目安)
-40℃以上かつ250℃以下 550℃以下 300℃以下 80℃以下
磁石素材

※1.標準材にて不可逆熱減磁が発生しない温度(温度を下げれば元の磁力に戻る限界温度) ※2.表面処理(メッキ等)前。ただし、表面処理の劣化により錆や腐食は進行します。

まとめ

磁石は、使用される素材によって性能や適用範囲が大きく異なります。ネオジム磁石・フェライト磁石・サマリウムコバルト磁石・アルニコ磁石といった各種磁石は、それぞれ異なる原料を基に製造されており、磁力の強さ、耐熱性、耐食性などに特徴があります。

磁石の素材として適している条件は、磁気特性だけでなく、環境耐性や加工性など多岐にわたります。これらの要素を総合的に判断することで、用途に最適な磁石を選定することが可能になります。

本コラムでは、代表的な磁石の原料とその特性、素材選定のポイントについて解説しました。磁石の性能を最大限に引き出すためには、素材の理解と適切な選定が不可欠です。製品開発や設計の際には、ぜひ参考にしてください。

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