主要磁石の中で最も強力!ネオジム磁石とは?
2025.07.29

世の中にはさまざまな磁石があり、その中で最も強力とされているのが「ネオジム磁石」です。
本記事では、ネオジム磁石の特徴や主な用途、使用上の注意点などについて詳しく解説します。
ネオジム磁石とは
ネオジム磁石とは、呼称の元にもなっている『ネオジム(Nd)』をはじめ、『鉄(Fe)』と『ホウ素(B)』の3つの元素を主成分とする永久磁石(※)です。
永久磁石の中でも金属磁石系に分類され、さらにその中の希土類磁石に属します。
1980年代に発明された比較的新しい磁石であり、現在世の中に出回っている永久磁石の中では最も強い磁力を持つことが知られています。
ネオジム磁石の特長
ネオジム磁石は、現在市販されている磁石のなかで最も強力な磁力をもつ「希土類磁石」の一種です。その主な特徴は以下のとおりです。
非常に強力な磁力(世界最強レベル)
フェライト磁石やアルニコ磁石といった他の磁石材料と同サイズで作り磁力を比べると、どの磁石材料よりも強い磁力を持っています。
単純な力だけでなく、外部からの磁力に対して大きな抵抗力(保磁力)も有している為、磁石同士で反発させる使い方もできます。
小型化・軽量化が可能
どの磁石材料よりも多くの磁力線を出すことができるため、既存品のフェライト磁石やアルニコ磁石から同等の力を出すネオジム磁石に置き換えた場合、サイズを『大幅に小さく薄く』できます。
製品の小型化・軽量化を求められる分野に最適な選択肢 といえるでしょう。
ネオジム磁石の注意点
ネオジム磁石には最強の磁力を持つというメリットがある一方、デメリットとなる特性もあります。
- 耐熱性がどの磁石材よりも低い
- 錆びやすい
耐熱性が最も低い
通常タイプのネオジム磁石は約80℃が耐熱限界となります。これは他の永久磁石であるフェライトやサマリウムコバルトなどと比べるとたいへん低い数字です。
磁石の種類 | 耐熱限界 |
ネオジム |
約80℃ |
フェライト |
約250℃ |
サマリウムコバルト |
約300℃ |
アルニコ |
約450℃ |
錆びやすい
ネオジム磁石には鉄が多く含まれており、湿気や水分で錆びやすいというデメリットも。
一般的には『メッキやエポキシ樹脂などで表面をコーティング』する対策が必須なります。
ネオジム磁石の用途・応用例
ネオジム磁石はその強力な磁力を活かし、幅広い分野で活用されています。
- 電子機器:ハードディスク(HDD)、スマートフォン、タブレット、スピーカー、イヤホン、マイク
- 家電製品:掃除機、洗濯機、エアコン、扇風機など、モーターを使う製品のほとんど
- 医療機器:MRI装置、医療用センサー、治療機器など
- 産業機器:ロボット用モーター、小型発電機、磁器センサー、各種制御装置など
- 磁気応用製品:強力マグネットフック、磁器ホルダー、磁器キャッチなどの日用品
ネオジム磁石の取扱上の注意
吸着力の高さが破損や紛失につながることも
ネオジム磁石は吸着力が強すぎるあまり、吸着時の衝撃で破損することがあります。
そして破損した際、カケラ同士が反発して飛び散ることがあります。組込み作業などで磁石を取り扱う際は保護メガネの着用をオススメします。
加えて、衝撃を受けた際、外見上問題なくとも内部が破損していることがある点にも注意が必要です。
また、小型でも吸着力が強いため、落下時や何らかの要因で机や棚の裏側といった死角に貼り付いてしまい、見失ってしまうことも少なくありません。
作業スペースの確保と囲い等することで紛失を防ぎ、万が一の場合に備え予備品の準備をお願いいたします。
メッキ無しの場合は素手での取り扱い厳禁!
基本的にはメッキ加工を施しますが、メッキ無しで受注が入ることもあります。その際は素手で触ることは厳禁です。
汗や皮脂が錆びを誘発し、また、磁石表面に塗ってある防錆油や薬剤で衣服が汚れたり、そのまま目を擦ったりすると痛みが生じる恐れがあります。
保磁力が高いため脱磁や再着磁が困難
特に耐熱タイプは保磁力が高く、一度着磁すると脱磁や再着磁を行うことが困難となります。
取り扱いの際は着磁されているかの確認を怠らないようにしましょう。
まとめ
本記事ではネオジム磁石について解説しました。
最強の磁力を持っていますが、それゆえに取り扱いに注意しなければならない点も多くあるのが特徴といえるでしょう。
株式会社マグナは永久磁石や磁石関連製品を専門に扱う会社です。
ECショップを運営しているほか、工業用磁石に関するご相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。